要約筆記とは
要約筆記とは、耳の聞こえない人・聞こえにくい人に、話の内容を文字にして伝える通訳です。
「速く」「正しく」「読みやすく」
この三原則をもとに、文字で通訳します。
話している言葉をすべて伝えるのではなく、話を要約したり、言葉を置き換えたりして、わかりやすく表出し、話し手の意図を伝えます。
要約筆記の文字により、聴覚障害者の方が話し手の意図を理解し、行動でき、社会に参加できるよう、支援しています。
要約筆記には、同時性をもって、正しく話を聞き、読みやすい文字を届ける力が必要になります。その技術力を高めるため、サークルでは、学習会を行い、メンバー同士の交流を深めながら、要約筆記の技術を磨いています。
★ 聴覚障害者のコミュニケーション
聴覚障害は、外からはわかりにくい障害です。まったく聞こえない方、虫食いの葉っぱのようにところどころ聞こえる方、音がひずんで聞こえる方など、聞こえの状態は人それぞれです。
また、中途失聴・難聴者の方のほとんどは、普通に話すことができる方です。そのために、聞こえている、と誤解されることも多いのです。
「聴覚障害者」=「手話」と思われがちですが、人生の途中で聴力を失った中途失聴・難聴者の方が、手話で十分なコミュニケーションができるようになるのは容易なことではありません。今聞こえているあなたも、もし急に聞こえなくなったとき、手話でコミュニケーションできるでしょうか?
そんなとき手助けとなるのは、今まで使ってきた日本語の文字によるコミュニケーションです。
筆談は、話をする本人同士が文字で行いますが、要約筆記は、その両者の間に入り、文字で通訳をします。
人生の半ばで聴力を失った方の悲しみ、苦しみは想像を絶するものです。
耳が聞こえないことを人に伝えることもためらい、家に閉じこもってしまう方も多いのです。
それを乗り越え、社会に出ていくための一歩を踏み出せる手助けになりたい、いろんな人と会話を楽しんでほしい、笑顔を増やしたい…そんな気持ちで、サークルのメンバーは要約筆記をしています。
高齢化社会が急速に進む中、文字で伝えることができる要約筆記の役割は、ますます重要になってきています。
文字による通訳があることは、聞こえる人にとっても、手助けになることもあります。
書いて伝えるのが面倒で、ついつい聞こえない方との会話をためらってしまうときにも、要約筆記で文字で伝えてもらうと、コミュニケーションしやすくなります。
音声情報のあるところには、要約筆記が当たり前のようにつき、だれもが文字で情報を得られる社会になるのが、私たちの願いです。
要約筆記の方法
「手書き要約筆記」「パソコン要約筆記」の2種類があります。
★ 手書き要約筆記では、文字を紙やロール紙、ホワイトボードなどに
書いていきます。
★ パソコン要約筆記では、パソコンで入力し、文字を表出していきます。
B-1グランプリで行った、タブレットやスマホに届ける方法もあります。
ウィズコロナの時代となり、遠隔でも、音声を送ってもらい、文字を届ける方法を試みています。
また、それぞれ、
「全体投影」「ノートテイク」という
方法があります。
全体投影
会議、講義などで、会場全体から見えるように、スクリーンに プロジェクターを使って投影したり、モニター画面に要約筆記を表出したりします。 不特定多数の利用者が利用できる方法です。 屋外や、移動を伴う場合は、手書きでホワイトボードに書く、という方法でも対応できます。
ノートテイク
利用者が1~2人の場合に、その利用者だけに要約筆記を見てもらう方法です。病院での受診、自治会への参加、学校での保護者会・授業参観、講座の受講、同窓会などに参加する場合。
★ 手書きノートテイク
横に座って、書いて伝える方法と、移動を伴う場合に、バインダーをもち、横で書く方法があります。
ウィズコロナの時代、ソーシャルディスタンスを保つための方法として、
書画カメラを使い、モニターを見ていただく、という方法も、サークルでは試しています。
★ パソコンノートテイク
要約筆記者のパソコンを直接のぞき込んでいただく方法と、表示用のパソコンを見ていただく方法があります。
表示用のパソコンは、サークルでご用意します。